タグ：サーマルグリス

　前回の記事の中でも書きましたが、最近のCPUクーラーはかなり強い力でCPUに押し付けられているため、CPUのヒートスプレッダより大きなベース面を持つCPUクーラーを取り付けた場合、ある程度うす塗してもグリスは多少はみ出すことになります。そのため、導電性のあるグリスに関しては過度に塗り過ぎないよう注意が必要であるとよく言われています。

確かに導通性のあるグリスがCPUソケット無いやピン同士をショートさせるとよろしくないのですが、従来のソケットではグリスが多少はみ出したとしてもソケットカバーやCPU-ソケット間のスキマの狭さに阻まれ、CPUのピンをショートさせるようなことは起こりづらい構造になっていました。そう、なっていたのですが…。

IMG_0011
IMG_6769　IMG_0012


　上の写真はIntelのLGA 1156ソケットです。よく見ると、CPUとソケット間のスキマがソケットカバーを閉じた状態でも確認できます。斜めから見るとLGAソケットのピンも見えます。つまり、他の多くのソケットと異なり、LGA 1156ソケットではグリスが入り込めるだけのスキマが空いているということですね。

まぁ、ある程度粘土の強いグリスであれば、多少はみ出してもこのスキマに入り込むほど流れ出ることはそうないかと思われますが、塗り過ぎにより大量のグリスがはみ出した場合や、『Liquid Pro』や溶けた『Liquid Metal Pad』のような粘土の低い液体金属の場合はCPU-ソケット間に流れ込んでしまう可能性があります。例え非導電性のグリスであっても、ソケット無いにグリスが入ってしまうのは宜しくないので、グリスの塗り過ぎには注意したいところですね。


　なお、LGA 1156ソケットの形状はピン数と切欠きの位置が違うだけで、今人気のSandy Brige用ソケットLGA 1155と同じです。つまり、CPU-ソケット間のスキマが露出しているのも同じなので、LGA 1156同様グリスの塗り過ぎには注意された方がよろしいかと思います。




最安値情報(coneco.net) & Shop Link
・CPUクーラー 人気商品ランキング 1位〜20位
タグ ：
#サーマルグリス
#LGA_1156
#LGA_1155
    このエントリーをはてなブックマークに追加

　サーマルグリスの性能と合わせて語られることが多いのが「塗り方」ですね。うす塗、厚塗り、X塗り、※塗り、センターう…米粒などなど様々な塗り方が編み出され、塗り一つでCPUの温度が○○℃以上変わる！という話もよく見かけます。

ただ、塗り方を考えるうえで勘違いしてはいけないのは、塗り方で冷えるのではなく結果的に理想的な状態に近づくから冷えているということです。塗り方は手段であって、それそのものが直接温度を左右する要因ではないという話しです。

グリス
↑クリックで拡大します

　サーマルグリスの目的は、発熱源とクーラーの接触面が互いに完全な平面かつ平坦では無いがゆえに生じるスキマを埋めることで熱伝導を補助するって感じです。上の図は随分極端な例ばかりですが、「①接触面全体に断熱性の高い空気が入るスキマが無いこと」が達成された上で、「②発熱源とクーラーの接触面が近いこと」が理想的な状態であるといえます。

で、この理想的な状況を作り出すにあたって様々な塗り方が考えられ試されているというわけなのですが、ベターな塗り方はどれなのか？という話になると…まぁ、接触面次第、ケースバイケースとでも言ったところでしょうか…。うす塗をすれば余分なグリスが残りづらく、②の目的は達成しやすくなりますが、発熱源やクーラーの接触面の凹凸が大きい場合などは、極端にうす塗しすぎた結果①の目的が果たせなくなってしまう可能性があります。厚塗りの場合は逆が起こりえますね。

グリス2
↑クリックで拡大します

　結局どれがベターな塗り方かと言うデータを提示できないのが困ったところですが、個人的にCPUとCPUクーラーの場合は、取り付け後にグリスがちょっとはみ出す程度にちょっと厚塗りをしています。いまだに根強く支持されているのはうす塗ですが、CPUコアがむき出しであったがために大きな圧力を掛けられなかった頃と違い、現在はCPUクーラーはかなり強い圧力でCPUのヒートスプレッダに押し付けることが可能となっています。そのため、ある程度硬いグリスであってもCPUクーラーを押し付けることで伸ばされ、余分なグリスは接触面外に押し出されます。このため、少し余分なくらいに塗ることが①と②を達成しやすい塗り方かなーと考える訳です。

また、近年人気のヒートパイプダイレクトタッチタイプの接触面を採用したCPUクーラーの場合、目に見えて大きな溝がベース面に存在していることも大く、このような場合はうす塗し過ぎると①が達成しづらいというのも、あまりうす塗を支持しない理由の一つですね。ただ、チップセットやGPUなど、ヒートスプレッダのついていないチップへの取り付けに関しては別の話です。


　手段（塗り方）によって目的（理想的な状態）が達せられることで結果（温度差）が出るため、「この塗り方が冷える！」というのはあながち間違ってはいないのですが、同じ手段を使ったとしても全ての条件で必ず理想的な状態が達成できるという訳ではありません。塗り方は本来の目的（冷やす）を達するための手段（理想的なグリスの状態）を実現するための手段とでも言ったところでしょうか。

ちなみに、本当に理想的な状態というのは、サーマルグリスを使用せずに発熱源とクーラーが完全に密着している状態であると言われますが、単にベース面とヒートスプレッダを鏡面に研磨すればいいというレベルの話ではなく、せめてリンギングが発生する程度に平面・平坦になっていないとダメでしょうから、とても現実的な話ではありません。試してみたい気はしますが、私の腕と機材じゃちょっと無理ですねぇ…。
タグ ：
#サーマルグリス
    このエントリーをはてなブックマークに追加

　昨日の雑記で書いた通り、昨年の夏頃に検証したっきりデータを腐らせていたグリスの性能比較検証結果を簡単に紹介してみたいと思います。

IMG_6763

続きを読む
タグ ：
#検証・レビュー
#サーマルグリス
    このエントリーをはてなブックマークに追加

　定番のサーマルグリスと言えばArctic Silverの『AS-05』…というのは、発売から数年が経った今でも聞かれる話ですね。

実際、塗りやすさやスペック、入手性のいずれも良く、実性能的にもTDP 130Wクラスの発熱程度なら、高性能グリスと大して差がつく訳でもありません。それが定番と言われる所以なのかもしれませんね。

IMG_6761

　もっとも、高い電圧を加えてCPUをOCするような状況、ハイエンドCPUクーラーでもCPU温度が70℃くらいまで上昇してしまう状況では、ちょっと話が違ってきます。ハイエンドCPUクーラーの僅かな性能差にこだわるのであれば、グリスにこだわってみるのも良いかと思います。

というわけで、明日の更新では昨年の夏頃に検証したっきり腐らせていたグリスの比較検証の結果を、かるーく紹介してみたいと思います。


　…そういえば、アプライドのネットショップでまた『T-Shooter』が580円で販売されていますね。10個買っても最初の値段よりやすいというのは衝撃的です。

まだ購入されていない方は、PWM制御対応の120mm角ファンを買うと思って購入されてみては如何でしょうか。


最安値情報(coneco.net) & Shop Link
・ベストサーマル『T-Shooter』　⇒ [ソフマップ][アプライド]
タグ ：
#サーマルグリス
    このエントリーをはてなブックマークに追加

　サーマルグリス検証第5弾。今回は12.0W/mKという高い熱伝導率を売りにして登場したWIDE WORKの銀グリス『COOL SILVER 3.5』と、Tuniq『Tower 120 Extreme』の付属グリス『TX-3』の2製品を検証しました。

IMG_9605


続きを読む
タグ ：
#検証・レビュー
#サーマルグリス
    このエントリーをはてなブックマークに追加

　以前掲載したサーマルグリス検証記事の比較条件に基づいて、Noctuaの『NT-H1』と、PC用熱伝導補助剤の最高峰と名高いCoollaboratoryの液体金属『LIQUID Pro』の2製品の性能を検証してみました。

DPP_0044


続きを読む
タグ ：
#サーマルグリス
#検証・レビュー
#LGA_775
    このエントリーをはてなブックマークに追加

　前回『HD4850-512-GS』と『BATTLE-AXE VD964』の組み合わせで行ったサーマルグリスの性能比較では、『BATTLE-AXE VD964』の冷却能力に余力があり過ぎた為、フルロードでも50℃以下という低い温度での比較となっていました。

　そこで、今回は『Core 2 Extreme QX9650』を4.0GHz@1.575にオーバークロックし、CPU温度が60℃を超えるような環境でグリスの性能差を比較してみました。

トップ


続きを読む
タグ ：
#サーマルグリス
#検証・レビュー
#LGA_775
    このエントリーをはてなブックマークに追加

このページのトップヘ