CPUクーラーをマザーボードに取り付けるリテンションキット。そのねじって締め切っていいの?って話です。

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最近のリテンションキットは大体が締め切り仕様


 結論から言えば、最近のCPUクーラーに採用されているリテンションキットは、そのほとんどがねじを締めきって取り付ける仕様となっています。

 たとえばサイズ製品に採用されているこちらの「ブリッジ式リテンション」も、ねじを締めきることで設計通りの取り付けとなる仕様となっています。

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 サイズのブリッジ式リテンションは、マザーボード上に土台を組み、ヒートシンクを1本のバー(ブリッジ)で押さえつけて固定する仕様。

 このリテンションキットでは、バックプレートと支柱(4点)、支柱と土台部分(4点)、土台とブリッジ(2点)をねじ止めします。もっとも、ヒートシンクにテンションを掛けるブリッジを固定する2点以外のねじ止めで悩むことはまずないでしょう。

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バックプレート、支柱、土台のねじ止め。特に遊びも無く、ただ締めるだけ。

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最後にネジ止めするブリッジ。ここの締め具合が悩みの種になる模様。

 サイズのブリッジ式リテンションキットは、ブリッジのバーや土台部分がしなることでCPUクーラーをCPUに押し付ける圧力を作るタイプとなっており、ブリッジバーを固定するねじを締めこむにはある程度力を掛ける必要があります。

 締めこんでテンションを掛けることでミシミシって感じの音も鳴ったりするので、「これ以上締めても大丈夫か?」不安になるのも分かります。

 ただ、ねじの形状を見てみると、途中までしかねじ切られていないことが分かります。つまり、そこまで締めればねじは回らなくなるので、他のパーツを正しく取り付けている限り、ねじを締めすぎてCPUやソケットを壊してしまうということはありません。

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ブリッジを固定するねじ。途中までしかねじ山が切られていません。

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土台にねじを取り付けようとしているところ。

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ねじを限界まで締めたところ。これ以上はねじ山が無いため回らなくなります。



正しくつけないと危ないという話


 昔のCPUクーラーには、今回のブリッジ式リテンションなどとは違い、締めようと思えばどんどん締められるというタイプの製品も無かったわけではありませんが、現在メジャーなCPUクーラーならほぼ締め切りで問題ないでしょう。

 でも、ねじの締め切りでマザーボードを壊したという話、今でも耳にすることがあります。真偽のほどは定かではありませんが、今回紹介したサイズのブリッジ式リテンションでも、取り付けを誤れば、ソケットを壊すほどの圧力を掛けることは可能です。

 サイズのブリッジ式リテンションは、土台側に2枚の金属板を用いていますが、この板には凹凸があります。

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表裏がある土台部分の金属板

 本来はブリッジを固定するためのねじ穴が凸になるように取り付けるものですが、これを逆向きに取り付けるとねじ穴の高さが低くなり、ブリッジは正常な取り付けよりずっとマザーボード表面に近い位置まで押し下げられることになります。これをやってしまうと、CPUソケットは壊れてしまうでしょう。

OK
こちらは正しい取り付け方。ねじ穴が支柱よりも高い位置にあります。

NG
土台部分を「逆付け」するという、絶対にやってはいけない取り付け方。

 欲を言えば、物理的に逆付けできないようにするとか、そもそも表裏を無くすとかって対策が欲しいところではありますが、取り付け前にマニュアルをちゃんと読んでいれば、必ず避けられるミスです。



マニュアルはちゃんと読みましょう、という話


 ねじを締め切りでいいって話については、2015年のCOMPUTEXでサイズ製品の設計者の方に聞いたので、少なくともサイズのブリッジ式についてはそういう仕様で間違いありません。誤った土台の組み方でもしない限り、ソケットが破損するようなトラブルにはならないでしょう。マニュアル読む、とても大事。

 ただ、サイズ製品に限らず、取り付け時の圧力が高いCPUクーラーの場合、マザーボードの仕様によっては、破損を伴わない程度の不具合が起こることは無くもありません。まぁその辺はまた別の機会に。

 他に押さえておくべき事としては、ねじは片側を締め切ってからもう片方を締め切るものでは無く、ピクリとも動かなくなるまで満身の力を込めて回すものでもありません。2点止めなら、2か所を交互に少しずつ締めて行きましょう。