Sandy Bridge世代の名CPUであるIntel Core i7-2600Kは、現行のメインストリーム向けCPUの最上位モデルIntel Core i7-6700Kとどの程度差があるのかをチェックしてみようって話です。

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2011年デビューのSandy Bridgeな4コア8スレッドCPU「Intel Core i7-2600K」


 2011年1月にデビューしたSandy Bridge。その最上位モデルであった4コア8スレッドCPUのIntel Core i7-2600Kは、従来のLynnfieldベースのCore i7から動作クロックとワットパフォーマンスが大幅に向上したことで、近年(?)屈指の魅力的な新製品となりました。

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 新世代の4コア8スレッドCPUとして基礎性能が優秀であったことはもちろんですが、非常に優れたオーバークロック耐性を持っていたこともIntel Core i7-2600Kの魅力でした。

 Sandy Bridge世代のCPUでは、Nehalem/Westmere世代のCPUでは可能だった「ベースクロック」を引き上げるオーバークロックが困難になった一方で、CPU倍率の変更が可能な「Kモデル」に関しては、空冷で5GHzが狙えるほど優れたオーバークロック耐性を誇っていました。

 このOC耐性に期待して、オーバークロックが可能なIntel P67 Express チップセットやIntel Z68 Express チップセットを選択された方も少なくはなかったでしょう。



最新のSkylakeアーキテクチャ採用CPU「Intel Core i7-6700K」


 2016年現在、Intelのメインストリーム向けプラットフォームLGA1151対応の最上位CPUがIntel Core i7-6700Kです。第6世代に数えられるSkylakeは、第2世代のSandy Bridgeから4世代後のアーキテクチャです。

 CPUのコア数とスレッド数はIntel Core i7-2600Kと同じ4コア8スレッドですが、プロセスルールは3532nmから14nmへと微細化され、CPUクロックも定格で4.0GHz、Turbo Boost時最大4.2GHzへと向上しています。

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【本題】Intel Core i7-2600K vs Intel Core i7-6700K


 Intel Core i7-2600KとIntel Core i7-6700Kのスペックをまとめたのが以下の表です。iGPUについては割愛ってことで。

CPU比較

 さて、2011年デビューの名CPUは最新世代のCPUにどこまで対抗できるのかをチェックしていきましょう。今回、両CPUの比較に用いた環境は以下の通りです。

機材

 まずチェックするのは定番のCPUベンチマーク「CINEBENCH R15」のスコア。CGレンダリング時のパフォーマンスを測定するベンチマークソフトで、注目のスコアは「CPU」と「CPU(Single Core)」の二つ。

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 マルチスレッド性能を測る「CPU」のスコアはIntel Core i7-2600Kの616に対し、Intel Core i7-6700Kは871。おおよそ1.4倍の差をつけられています。

 シングルスレッド性能を測る「CPU(Single Core)」では、Intel Core i7-2600Kが131、Intel Core i7-6700Kは179。Turbo Boostでクロックが向上した分差を詰めているものの、約1.36倍のスコア差がついています。


 続いてチェックするのはTMPGEnc Video Mastering Works 6でのエンコードテスト。

 Shadow Playで録画した1,920×1,080ドット@60fpsのゲーム動画(動画時間16秒)を、1,920×1,080ドット@60fps(6Mbps)のH.265/HEVC形式に変換する時間を比較しました。

エンコード時間

 エンコード完了までに62秒を要したIntel Core i7-2600Kに対し、Intel Core i7-6700Kは半分以下の30秒で処理を完了しました。TMPGEnc Video Mastering Works 6は拡張命令セット「AVX 2.0」に対応しており、これを使えるSkylakeがSandy Bridgeとの世代の違いを示した結果と言えるでしょう。



 最後にワットチェッカーで測った消費電力の差をご紹介。

消費電力

 アイドル時の消費電力差は10W。マザーボードの仕様の違いもあるでしょうけれど、アイドル時の動作クロックが1.6GHzまでしか下がらないIntel Core i7-2600Kと、0.8GHzまで下がるIntel Core i7-6700Kの違いも少なからず影響しているのでしょう。

 全コア稼働中の消費電力に大きな差はありませんが、Intel Core i7-2600Kの半分以下の時間で処理を終えたTMPGEnc Video Mastering Works 6でのエンコードについては、Intel Core i7-6700Kがほぼ2倍のワットパフォーマンスであるということになります。

 実消費電力に大きな差がなくとも、ワットパフォーマンスではIntel Core i7-6700Kが大幅にリードしていることが確認できます。



改めて比べてみると大きな4世代の差


 というわけで、Intel Core i7-2600KとIntel Core i7-6700Kとの間には、電力効率と実パフォーマンスの両面で最大2倍の差がつきました。AVX 2.0を使わない場面でも1.3〜1.4倍程度の性能差が存在していることから、4世代の間についた差が決して小さくないということがわかります。

 5年前、高い性能と優れた電力効率で鮮烈なデビューを飾ったSandy Bridgeですが、こうして改めて最新世代のCPUと比較してみると、さすがに旧世代の製品なんだなぁという感じがしますね。

 とはいえ、Skylake世代を一式そろえるとそれなりのお値になってしまいます。ここはひとつ、Intel Core i7-2600Kには最期にもうひと頑張りしてもらおうということで、次回はIntel Core i7-2600KをオーバークロックしてIntel Core i7-6700Kに挑戦してみたいと思います。