AMDアンバサダーコンテスト参加記事の第二弾、組み立て編です。

 前回、A10-7800で作るPCのコンセプトや、PCを構成するパーツの紹介をしましたので、今回は実際に組み立てて動かしてみました。

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まずは仮組みで起動確認まで


 さて、自作PCの組み立て作業を行う場合、まず最初に行っておきたいのが、最小構成で仮組みをしての起動確認です。

 自作PC向けのPCパーツは工業製品であるため、製品の中には正常に動作しない不良を抱えている可能性があります。完全に組み立ててから、PCが正常に起動しなかった場合、その原因を特定するのは骨が折れますし、せっかく組み立てたPCを分解し、また組み直さないとならない事態に陥ってしまいかねません。

 そこで、少なくとも最少の構成ではUEFI(BIOS)のメニュー画面までは起動することを、ケースに組み込んでしまう前に確認しておきます。これをしておくことで、不良の原因を探る際の切り分けに大きく役立つので、特別な事情が無い限り、仮組みでの動作確認は行っておくべきです。


 それでは、仮組みまでの流れをざっと紹介していきます。

 今回の構成では、仮組みでの動作確認を行うパーツはAPU、メモリ、マザーボード、CPUクーラーの4つです。本当は電源ユニットをPCケースから取り外して、仮組みに加えるべきなのですが、手持ちの電源ユニットで代用しました。

 まずはAPUをマザーボードに取り付け、そこにCPUクーラーを取り付けます。APUとCPUクーラーの接地面には忘れずにグリスを塗っておきましょう。

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 続いてメモリをマザーボードに取り付けます。デュアルチャンネルメモリをサポートしているASUS A88XM-PLUSの場合、同じ色のメモリスロットには異なるメモリチャンネルが割り当てられており、黒色のスロット同士、あるいは黄色のスロット同士にメモリを挿すことで、チャンネルAとチャンネルBの両方を利用するデュアルチャンネル動作が実現します。

 なお、ASUS A88XM-PLUSについては、メモリスロットの挿しかたについて詳しい指示はありませんが、マザーボードによっては外側(あるいは内側)のスロットを優先的に利用するように指定されている場合があります。メモリを搭載するスロットによっ0/て、ハイクロックメモリの安定動作に影響する場合もあるので、マニュアルでそのような指示が無いか確認しておきましょう。

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 これで仮組みは完了です。マザーボードの裏面端子がショートしないよう、マザーボードのケースなどを下敷きにしてから、マウスやキーボードを、マザーボードのバックパネルIOに接続。電源ユニットを接続したら、マザーボード上の電源スイッチ用ヘッダを短絡させてPCの電源を入れます。この際、スイッチなどがあると便利ですね。

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 起動不能な不具合を抱えていない限り、電源を投入すればPCが起動し、POST画面へと移行します。Deleteキーや、F1キーを押すことでUEFIの設定画面に入れるので、ここでAPUやメモリが正常に認識されているかをチェックします。必要であれば、ここでUEFIアップデートを行ってしまってもよいでしょう。

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 最低限の動作確認はこれで終了です。電源を落とし、電源ユニットをマザーボードから取り外したら、いよいよケースへの組み込みを開始します。



PCケースへの組み込み


 PCケースへのパーツの組み込み作業は、そのケースの作業性に応じて順序を決めていくことが重要です。

 今回のケースの場合であれば、仮組みしていたマザーボードを最初に組み込み、その後ストレージなどのパーツを組み込み、最後にケーブルの接続作業を行うという流れで作業を行いますが、ほかのケースでは配線作業を同時進行で進めていた方が組み込みやすい場合もあります。ケースバイケースという訳ですね。ケースだけに。

 さて、組み込み作業を逐一紹介しても仕方ないので、特に注意しておきたいポイントだけ紹介しておきます。

 ASUS A88XM-PLUSをケースに組み込む際に注意したいのが、I/OシールドへバックパネルIOをはめ込む作業。基本的にそれほど悩むような作業では無いのですが、あまりテキトーに取り付けていると、アースを取るためI/Oシールドに設けられた突起が、コネクタの中に入り込んだままで固定してしまうことがあります。こうなってしまうと、一度マザーを取り外さないとならないため、取り付け後は必ず各コネクタが正常に利用できる状態であることを確認しておきましょう。

img_02ASUS A88XM-PLUSのI/Oシールド。アースを取るために突起が設けられている。

img_03ダメな取り付け。突起がHDMI端子の内側に入り込んでいる。

img_04img_07ダメな取り付け(左)と、問題の無い取り付け(右)

 ここは本当に気をつけましょう。完全に組みあがってから、このミスに気付いてマザーボードを取り外す時のやるせなさときたら、尋常なものではありません……



組みあがったらメモリを設定


 I/Oシールドとマザーボードの組み付けをクリアすれば、今回のPCはもうほとんど組みあがったようなものです。スリムデスクトップケースなだけに、若干ケーブルの取り回しに苦労しますが、こんな感じで組みあがります。

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 組みあがったら、UEFIでメモリの動作設定を行います。今回使用したメモリモジュールは、DDR3-2133での動作に対応するオーバークロックメモリなので、スペック通りに動作させるためには、UEFIで動作設定をする必要があります。

 マザーボードのASUS A88XM-PLUSと、メモリのTeam TZRD38G2133HC11ADC01は、ともにIntelが策定したオーバークロックメモリ用プロファイル「X.M.P」に対応しているため、これを適用してメモリの設定を行うこともできますが、今回は敢えて手動で設定しています。手動と言っても、動作クロック、タイミング、電圧の3つを設定すればいいだけなので、大して手間は掛かりません。

クロックメモリクロックの設定。DDR3-2133対応メモリなので、そのままDDR3-2133に設定。

タイミングメモリタイミングの設定。「11-11-11-31」のメモリなので、画像のように設定します。

電圧メモリ電圧の設定。1.65V動作のメモリなので、設定は1.65000

 メモリの設定が終わったら、OSをインストールしてしまいましょう。ちなみに、メモリの設定はOSインストール後にしても、特に問題はありません。



組立編 まとめ 〜 完成したPCのパフォーマンスをチェック


 と、いろいろ端折ってきましたが、シンプルな構成のPCなので、組み立て作業で、特に難しいところはありません。ささっと組み立てて、OSを入れ、各種ドライバをインストールすれば、もう完成です。

 完成したPCのパフォーマンスを、CPU性能を図るベンチマークテスト「CINEBENCH R15」と、3Dゲームがベースのベンチマークソフト「ファイナルファンタジー XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」でチェックしてみました。ついでなので、両ベンチマーク実行中の最大消費電力をワットチェッカーで測定しています。

CHINE-R15CINEBENCH R15

FFファイナルファンタジー XIV 新生エオルゼア ベンチマーク (1280×720ドット、最高品質)

消費電力


 そこそこのCPUパフォーマンスと、解像度を落とせば3Dゲームを十分プレイできるだけのグラフィックス性能。コンセプトとして掲げた、「10万円前後で作るオールラウンダーなPC」はおおむね達成できていると思います。

 消費電力については、CINEBENCH R15のピーク時でも100Wを下回ったのはちょっと予想外でした。ケース付属の電源ユニットではありますが、80PLUS PLATINUM認証を取得している効率の高さは伊達では無いようです。


 さて、とりあえず今回でPCは完成したので、次はConfigurable TDPやメモリクロックについて紹介できればと考えています。