Richland勉強会の参加者に対し、ASUSにより課せられた『F2A85-M PRO』の試すべき4つの機能。今回はその一つ、「USB BIOS Flashback」について試してみました。

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マザーボードと電源、そしてUSBメモリがあればBIOSのアップデートが可能


 ASUSの独自機能である「USB BIOS Flashback」とは、CPUやメモリが無くてもBIOSのアップデートが可能になる機能です。

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 通常であれば、BIOSのアップデートはBIOS上の機能やOS上でアプリケーションを利用して行うため、いずれにしてもBIOS起動が可能な状態でなければアップデートは不可能でした。

 そのため、新CPUなどが登場した際、BIOSアップデートを行わなければ起動不可能という状況では、BIOSアップデート作業は従来のBIOSがサポートしているCPUを用意して行う必要があったのですが、「USB BIOS Flashback」はCPUを必要としないため、新CPUを搭載する前にBIOSのアップデートが可能という訳です。

 IntelのX79やZ77系マザーボードから採用されていることは知っていた機能なのですが、CPUやメモリを搭載せずにBIOSをアップデートするような機会が無かったので利用してこなかったんですよね。でも、AMDのプラットフォームはソケットの互換性を長く保つ傾向にあるので、AMDプラットフォームと「USB BIOS Flashback」は相性の良さそうな機能ですね。



「USB BIOS Flashback」の利用方法


 「USB BIOS Flashback」の利用方法は下記の画像の通りです。

ASUS-flb


 細かく解説してくれているので、敢えて説明するほどのことは無いのですが、忘れがちなポイントだけピックアップすると…

・利用するUSBメモリはFAT32形式でフォーマットされている必要がある
・BIOSファイルは各マザーボードに応じたファイル名へのリネームが必要
・USBメモリは指定のポートに接続する必要がある


 ってところですね。

 で、今回はカードリーダーに2GBのMicro SDカードを差してアップデートを試みました。マザーボード上の「BIOS FLBK」スイッチを長押しすると、ボタン付近のLEDが点滅をはじめ、順調にBIOSアップデートが進行すると点滅の間隔が短くなっていき、完了するとLEDが消灯します。

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BIOSアップデートに失敗しても大丈夫?


 ところで、「USB BIOS Flashback」は、BIOS更新に失敗してもアップデートが可能であるとされています。

 BIOSのアップデート中に予期せず電源が遮断されてしまったりすると、BIOSの起動が不可能になって故障扱いになってしまいます。これを避けるため、他社製品ではBIOS用のフラッシュメモリを二重化するなどの対策を講じていますが、BIOSの更新に失敗しても焼直せる「USB BIOS Flashback」があれば、二重化の必要が無くなります。

 で、実際にBIOS更新に失敗したフラッシュメモリに対してBIOSを焼直すことができるのでしょうか?

 試そうにも、流石に貰ったマザーのBIOSを壊して試すという訳にもいかず、どうしようかと考えていたのですが、以前ヒートシンクグラフィックの検証に殉じたMAXIMUS IV GENE-Z』のBIOS用フラッシュが、偶然にも『F2A85-M PRO』のものと同容量であったので、これに差し替えて「USB BIOS Flashback」を試してみました。

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 上の写真の左に写っているのが『MAXIMUS IV GENE-Z』から抜き取った「25Q64BVAIG」です。『F2A85-M PRO』に元からついている「25Q64FVAIG」とは若干型番が異なるものの、どちらも容量8MBのフラッシュメモリです。

 そして、どうなるものかと思った「USB BIOS Flashback」ですが、手順通りに「BIOS FLBK」を押すとLEDの点滅がはじまり、フラッシュメモリ交換前と同じようにBIOSのアップデートが完了しました。恐る恐る起動させてみると、BIOSはしっかり『F2A85-M PRO』のものに書き換わっていました。見事に成功ですね。

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元『MAXIMUS IV GENE-Z』のフラッシュメモリで起動したところ。

 別のマザーボードのBIOSが記録されているフラッシュメモリの書き換えが可能ということは、フラッシュメモリ自体が破損している訳で無い限り、BIOSの焼き直しは可能でしょう。



BIOSアップデート作業に安心感をもたらす独自機能


 正直なところ、BIOSをアップデートしなければ動作しない状況というのがそうそうあることでは無いので、CPUやメモリ抜きでアップデートが可能という点については、これからもあまり利用する機会はないかもですが、BIOS書き換えに失敗しても復活できるというのは大きいですね。別のマザーボードから抜き取ったフラッシュメモリにすら書き込めてしまうのにはちょっと驚きました。

 「USB BIOS Flashback」に対応しているマザーボードであれば、突然の停電に怯えることもなくBIOSアップデートができそうですね。