Noctuaから新たに発売されたマルチソケット対応のサイドフロー型CPUクーラー『NH-D14』のファーストインプレッションです。120mm角と140mm径の異なる2基のファンを標準で搭載した大型ハイエンドCPUクーラーのスペックと外観を紹介します。

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◆ Noctuaのオリジナルファンを2基標準搭載

 Noctua『NH-D14』は、同社オリジナルのファンを2基備える大型のサイドフロー型CPUクーラーで、同社がラインナップしている空冷CPUクーラーの最上位モデルです。

 IntelのSocket 478やAMDのSocket 939など、旧世代のソケットには対応していないものの、現在主流となっているIntelのLGA系とAMDのAM2(3)系に取り付け可能となっているため、物理的な干渉さえ無ければ幅広いプラットフォームで利用できる製品となっています。また、標準で搭載されているファンは着脱可能で、市販のリブ無しタイプの120mm角ファンへの換装が可能です。(ただし中央部には25mm厚以下のファンのみ取り付け可)

スペック

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◆ 外観チェック 〜 丁寧な梱包・丁寧な作りが印象的 〜

 以前からNoctua製のCPUクーラーは高級な製品が多いのですが、現在『NH-D14』の日本での販売価格は9,000円を超えており、Thermalrightの『TRue Black 120 Rev.C』などと並び、空冷CPUクーラーとしては最も高い価格帯にある製品となっています。

高価なNoctuaオリジナルファンを2基搭載しているとは言え、空冷CPUクーラーで1万円近い価格というのは流石に高い印象があります。しかし、製品自体の作りや付属品の充実度はもちろん、梱包も他社と比較して非常に丁寧なので、高級な製品であることをしっかり実感できる製品となっています。


▲ 本体の梱包(画像をクリックしてみて下さい)



 さて、肝心の本体に関しては、ベース部がCPUから受け取った熱を、ベース部を貫通している6本の6mm径ヒートパイプで放熱部に伝えるという構造です。放熱部には、42枚の放熱フィンで構成されたブロックが2つ用意されており、ベース部両端から伸びるヒートパイプはそれぞれ別々の放熱フィンブロックに接続されています。

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 ベース面については、多くのCPUクーラーと同様に銅板にメッキを施したものとなっています。表面に鏡面加工などは施されていませんが、見た目で分かるほどの歪みは見られず、ベース面の加工精度は決して悪くないように見えました。

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▲ NH-D14のベース面



 ベース部とヒートパイプの接続部は、ヒートパイプの形に合わせた溝をベース部に彫り込んだうえでろう付けするという、熱輸送時のロスを抑えるための加工が施されています。『NH-D14』では、放熱フィンとヒートパイプの接続でも、同じようにろう付けが施されていますが、コストパフォーマンスを重視した安価なCPUクーラーでは、ベース部の銅板でヒートパイプを押しつぶして挟んだだけの製品や、放熱フィンにろう付けを施している場合も多かったりします。

CPUクーラーに求められる性能と費用対効果を考えれば、無理にこうした加工やろう付けをする必要も無いのかもしれませんが、こういうところまで作り込んでいるところは、流石ハイエンド製品と言ったところですね。

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▲ ベース部とヒートパイプの接続部。

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▲ ヒートパイプと放熱フィンの接続部



 『NH-D14』の放熱部を構築している計84枚の放熱フィンは、長辺にノコギリ状の加工が施された長方形のアルミ製フィンで、表面には最近流行りの黒色ではありませんが、ニッケルめっき処理が施されています。放熱フィンブロック1つ当たりの放熱フィン数は42枚となっており、従来のNoctua製品(NH-U12P SE2)と比較するとややフィンピッチが狭くなったようです。ちなみに、フィンの厚みはおおよそ0.40mm(実測)でした。

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▲ 冷却ファンに接する面はノコギリ状に加工されています。

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▲ ヒートシンク全体にニッケルめっき処理済み。


 『NH-D14』は、大型の製品多数リリースされているハイエンドサイドフロー型CPUクーラーの中でも、トップクラスの大きさを誇るCPUクーラーですが、高さに関しては160mmと他のサイドフロー型CPUクーラーとほぼ同じ高さとなっています。

写真で高さを比較しているThermalright『TRue Black 120』が160.5mmなので、高さに限って言えば『TRue Black 120』が入るケースなら側面板との干渉が問題になる可能性は低いと思われます。ただ、ファンまで搭載するとかなりのスペースを占有することになるので、メモリヒートシンクとの干渉などに気をつかう必要もありそうです。

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▲ TRue Black 120(右)との高さ比較

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▲ TRue Black 120(右)との高さ比較・別方向から

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▲ Scythe『KABUTO』との高さ比較



 『NH-D14』に標準搭載されている2基のオリジナルファンは、いずれも単品販売されている製品で、140mm径ファンが『NF-P14』、120mm角ファンは『NF-P12』です。これらのファンが単品で2,600〜2,800円程度で販売されていることを考えると、『NH-D14』のヒートシンク本体の価格は実質5,000円前後ということになりますね。

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▲左が『NF-P12』、右が『NF-P14』

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▲ 分岐ケーブルや抵抗入りケーブルが付属

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▲ 『NF-P12』をケースファンとして利用するためとされるゴムブッシュとネジ


 140mm径の『NF-P14』は、120mm角ファンと取り付け穴の互換性があるラウンドフレームに、切り込みの入った独自形状のファンブレードを9枚備えたファンです。スペック的には、回転数1200rpmで風量は約65.1CFM(110.3m3/h)、騒音値は19.6dBAとなっており、どちらかと言うと静音志向のファンと言えます。

 単品販売版の『NF-P14 FLX』には、回転数を変更するための抵抗入りケーブルが2本同梱されているようですが、『NH-D14』の付属品としては、回転数を900rpmに変更するためのケーブルのみ同梱されています。ちなみに、回転数を落とした場合、風量は約49.4CFM(83.7m3/h)、騒音値は13.2dBAに低下します。

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▲ 120mmファンと同じ位置にネジ穴を持つラウンドフレームを採用


 120mm角の『NF-P12』は、『NF-P14』同様切り込みの入った独自形状のファンブレードを採用している事を除けば、ごくごく普通の120mm角25mm厚ファンです。回転数は1300rpmで風量は約54.5CFM(92.3m3/h)、騒音値は19.8dBA。

こちらも単品販売板には回転数変更用のケーブルが2本付属しているようですが、『NH-D14』に同梱されているのは回転数を900rpmに変更するためのケーブルのみとなっています。回転数900rpm時の風量は約37.4CFM(63.4m3/h)で、騒音値は12.6dBAとのことです。

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▲ ファンブレードの形状とカラーリングが特徴的な120mm角25mm厚ファン


 『NH-D14』では、冷却ファンの固定には金属製のクリップを使う方式が採用されています。ヒートシンク側には防震用のシリコンゴムが取り付けられており、金属製クリップでファンをヒートシンクに押しつけても振動による騒音が発生しにくいように工夫されています。

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▲ 防振用のシリコンゴム

 ただ、このファンクリップを使って固定をした場合、一部のIntelのLGA 1156対応(=P55)マザーボードとの組み合わせで、クリップがビデオカードに接触する恐れがあるようです。Noctuaはこの件に対して、ファンクリップに熱収縮チューブや絶縁性のテープを使ってショートを防ぐ対象法を公開しています。 【⇒ Noctua NH-D14 FAQ (ドイツ語) 】

 ちなみに、『NH-D14』のクリップの取り付け方的に、ちょっと形を整えればScytheが単品販売しているファン固定クリップ『SCY-12FC Type.B』を利用することも出来ます。この場合、標準のファンクリップのような接触が発生しませんが、ファンを増設するならまだしも、そんな理由でわざわざ別売りのファンクリップを購入するというのは何とも…。

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▲ SCY-12FC Type.B使用例。これを使えば、3つ目のファンを取り付け可能。

 PCI Expressスロットだけでなく、CPUソケットとメモリスロットの間隔も狭い製品が多いP55マザーでは、ビデオカードだけでなく、大型ヒートシンクを搭載したメモリとの接触も問題になる可能性がありそうですね…。P55環境に『NH-D14』の導入を検討されている場合は、注意された方が良さそうです。




◆ まとめ 〜 丁寧に作り込まれた"ハイエンド"らしいCPUクーラー 〜

 Noctua製品を購入したのは今回がはじめてだったのですが、製品本体の作り込みだけでなく、梱包や付属品の一つに至るまで手が込んでいるのが見てとれるなど、『NH-D14』が非常に丁寧に作り込まれた製品であることを強く感じました。9,000円を超える価格はたしかに空冷CPUクーラーの最高級ではありますが、個人的には、標準ファンが2基も付属している点や、この作り込みを見ると決して割高では無いとに思います。

 もっとも、このブログでCPUクーラーを評価するにあたって、最終的に重要なのは「冷えるか否か」です。如何に丁寧に作り込まれていようと、どんなにベース面が完璧な平面かつ鏡面だろうと、その加工が結果に結び付かないのであれば評価することは出来ないというのが、ここの検証方針です。まったくそういう要素が無いとは言いませんが、CPUクーラーは工業製品であって、工芸品ではありませんからね。『NH-D14』の最終的な評価は冷却検証結果をお待ちいただきたいと思います。

 取りあえず、ファーストインプレッションとしての評価は、大型の製品なため、周辺部品との干渉に注意する必要があるものの、作りは丁寧、梱包も丁寧、付属品も充実…ほとんど文句の付けどころが無いといった感じです。これに性能が伴うのであれば、非常に素晴らしい製品と言えるのでは無いでしょうか。 …伴うんですけどね〜。(汗




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