2009年09月23日

 Socket AM3環境における『ZIPANG 2』の冷却性能を、「CPU Cooler Test Regulation for Socket AM3」に基づいて他のCPUクーラーと比較してみました。

Scythe『ZIPANG 2』 冷却性能検証 〜Socket AM3〜

 この記事は、「CPU Cooler Test Regulation for Socket AM3」で定めた条件に基づき、CPUクーラーの冷却性能を検証・比較した内容となっています。Scythe『ZIPANG 2』の製品概要については、以下の記事をご参照下さい。

Scythe『ZIPANG 2』 〜 first impression 〜




◆ 比較用CPUクーラー紹介 〜 初代ZIPANGやKABUTOなどと比較 〜

 今回『ZIPANG 2』と冷却性能を比較するのは、初代の『ZIPANG』や、『ZIPANG 2』と同じフィン構造を採用している『KABUTO』などのトップフロー型CPUクーラー3製品と、サイドフロー型CPUクーラーの『大薙刀メタルブラック』です。

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取り付け方向AM3_ZIPANG2
▲ Scythe『ZIPANG 2』

取り付け方向AM3_KABUTO 取り付け方向AM3_ZIPANG
▲ 左:『KABUTO』、右:『ZIPANG』

取り付け方向AM3_ANDY 大薙刀メタルブラック
▲ 左:『ANDY SAMURAI MASTER』、右:『大薙刀メタルブラック』



◆ 冷却性能検証・その1 〜 定格動作時 〜

 まずは『Phenom II X4 955 Black Edition』をスペック通りの3.2GHz@1.35Vで動作させた際の検証結果から比較していきます。

CPU


CHIP MEM3 MEM4



 『ZIPANG 2』のCPU冷却性能については、初代『ZIPANG』や『ANDY SAMURAI MASTER』を上回り、放熱部に同じ多重エアフロー透過構造「M.A.P.S.」を採用している『KABUTO』との差は1〜2℃程度となっています。高速なファンとの組み合わせでは『ZIPANG』や『ANDY SAMURAI MASTER』との差が縮んでいるものの、超静音志向を謳っているCPUクーラーとして、静音ファンと組み合わせた際のパフォーマンスは流石と言ったところですね。

比較したトップフロー型CPUクーラーの中ではトップクラスのCPU冷却性能を記録した『ZIPANG 2』ですが、サイドフロー型CPUクーラーの『大薙刀メタルブラック』には、いずれのファンとの組み合わせでも5℃以上の差をつけられており、CPU冷却性能に優れるサイドフロー型CPUクーラーには及ばない結果となっています。流石にCPU冷却性能でサイドフロー型CPUクーラーを上回るという訳にはいかないようですね。


 トップフロー型CPUクーラーに対して、CPU冷却性能と併せて期待される周辺冷却性能に関しては、放熱フィンに多重エアフロー透過構造を採用した事によって風が抜けやすくなったのか、チップセット・メモリ共に初代『ZIPANG』より低い温度を記録しています。また、全高の低さもあってか風圧の弱い『S-FLEX (800rpm)』搭載時の周辺冷却性能に関しては、他のCPUクーラーを上回っています。

もっとも、周辺冷却性能に関しては初代『ZIPANG』が他のCPUクーラーより高くなっている事や、『S-FLEX (800rpm)』以外との組み合わせでは、『KABUTO』や『ANDY SAMURAI MASTER』と互角か逆転されている事などから、『ZIPANG 2』の周辺冷却性能が他のトップフロー型CPUクーラーと比較して特別高いという訳ではないようです。


 オリジナルファン搭載時のパフォーマンスに関しては、『ZIPANG』や『ANDY SAMURAI MASTER』を上回ってはいるものの、最高1300rpmのPWM制御対応版KAZE-JYUNIを搭載した『KABUTO』の方がCPU・周辺冷却ともに上回っており、ファンの換装を行わないのであれば『KABUTO』に軍配が上がる結果となっています。

オリジナルファンのまま利用される方も多いかと思われますが、以下にリテールCPUクーラーと各ファンと組み合わせた際の『ZIPANG 2』を比較したグラフを掲載しておりますので、リテールCPUクーラーとのパフォーマンス差と併せて、ファン交換によるパフォーマンスの変化の参考にしてみて下さい。


ZIPANG2対リテール




◆ 冷却性能検証・その2 〜 オーバークロック動作時 〜

 続いて、『Phenom II X4 955 Black Edition』を3.8GHzまでオーバークロックした際の冷却性能比較結果です。

OC_CPU


OC_CHIP OC-MEM3 OC_MEM4



 グラフをご覧頂けばお分かり頂けるように、トップフロー型CPUクーラーの中で記録を残せているのは『ZIPANG 2』と『ULTRA KAZE (3000rpm)』の組み合わせだけとなっています。これは、検証に利用している『Phenom II X4 955 Black Edition』が発熱に弱く、3.8GHz動作時にコア温度が64℃以上になるとBSoDになってしまうのが原因で、結果を残せていないトップフロー型CPUクーラーについては、負荷テスト中にコア温度が64℃以上に達したという事になります。

 他のトップフロー型CPUクーラーが負荷テストを完走出来ていない中、唯一記録を残すことが出来ているという事で、『ZIPANG 2』が他のトップフロー型CPUクーラーと比較して優秀なCPU冷却性能を有していると言う事も出来ますが、その『ZIPANG 2』と『ULTRA KAZE (3000rpm)』の組み合わせでもCPUコア温度は61℃に達しており、サイドフロー型の『大薙刀メタルブラック』には8℃もの差をつけられています。

 


◆ まとめ 〜 リテールCPUクーラーからのステップアップに 〜

 今回比較したトップフロー型CPUクーラーの中では、『ZIPANG 2』がCPU・周辺冷却ともにトップクラスのパフォーマンスを発揮しており、実売価格が4,000円前後である事も考えると、まずまずのコストパフォーマンスを持った製品と言って良いかと思います。旧製品と比較して低速ファンとの組み合わせでパフォーマンスが向上している点は、静音性を重視するユーザーにとっては嬉しい点ですね。

 一方で、CPU冷却性能に関してはサイドフロー型CPUクーラーの方が明らかに優位なので、コストよりも冷却性能を追求する場合は、トップフロー型CPUクーラーに高速ファンを組み合わせるよりも、サイドフロー型CPUクーラーに『Spot Cool』のような局所冷却用ファンやメモリクーラーなどを追加して周辺パーツの冷却を行った方が良さそうです。

 最終的に何を優先するかで選択するCPUクーラーは変わってくるかと思いますが、リテールCPUクーラーよりも手軽に静音化を図りたい場合や、HTPC用ケースのように搭載できるCPUクーラーの高さが制限される場合は、『ZIPANG 2』は十分魅力のある製品と言えるかと思います。





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