CPU冷却性能に優れるサイドフロー型CPUクーラー5製品の冷却性能を比較検証してみました。新興メーカーPROLIMA TECHの『Megahalems』や、XIGMATEKのハイエンドCPUクーラー『Thor’s Hammer S126384』は、2008年チャンピオンクーラーのThermalright『TRue Black 120』の牙城を崩す事が出来るのでしょうか?
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⇒検証条件
⇒CPU冷却性能比較
⇒周辺冷却性能比較
⇒まとめ
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◆ 検証条件 |
今回冷却性能を比較する製品は以下の5製品です。
・PROLIMA TECH 『Megahalems』 … 6,500円前後 【現在の価格】
・Thermalright 『TRue Black 120 (Plus)』 … 9,500円前後 【現在の価格】
・Scythe 『MUGEN∞2』 … 4,600円前後 【現在の価格】
・XIGMATEK 『Thor’s Hammer S126384』 … 7,900円前後 【現在の価格】
・XIGMATEK 『Dark Knight S1283V』 … 4,200円前後 【現在の価格】
今回比較を行う5製品のうち、XIGMATEKの『Dark Knight S1283V』を除く4製品は2つ以上の冷却ファンを取り付け可能となっています。このため、今回の検証では通常のファン1基搭載時の検証に加えファンを2基搭載した際の冷却性能についても検証を行いました。なお、製品に同梱されている固定具で2基のファンを取り付けられるのは『TRue Black 120』と『Thor’s Hammer S126384』の2製品のみですが、『MUGEN∞2』と『Megahalems』については、サイズの別売りファン固定クリップ『SCY-12FC Type.B』を2セット使用して2基のファンを搭載しています。
その他の基本的な検証条件については「【LGA 775】CPUクーラー冷却性能比較 Regulation 1.00 」に準拠しています。
◆ 冷却性能検証 その1 〜 CPU冷却性能 〜 |
まずは各冷却ファンを搭載した際のCPU冷却性能比較結果から紹介します。
今回の比較では、PROLIMA TECHの『Megahalems』が冷却ファンとの組み合わせやシングルファン・デュアルファン問わず全ての条件で最も低いCPU温度を記録しています。一方、2008年チャンピオンCPUクーラーのThermalrightの『TRue Black 120』は、総合的にみると『Megahalems』に次ぐ冷却性能を示し、高速ファン『ULTRA KAZE 3000rpm』搭載時には『Megahalems』と互角となっているものの、『KAZE-JYUNI 1200rpm』搭載時の冷却性能で『MUGEN∞2』に遅れをとるという結果になっています。
Scytheの『MUGEN∞2』は、高速ファンとの組み合わせではXIGMATEK製CPUクーラーに逆転される場面があるものの、ほとんどの条件で上位2製品に次ぐ安定した冷却性能を発揮しています。『KABUTO(兜)』にも採用されているフィン構造『M.A.P.S』の謳い文句の通り、『KAZE-JYUNI 1200rpm』との組み合わせでは『TRue Black 120』を凌ぐほど冷却性能を示しており、低騒音ファンとの組み合わせで高い冷却性能を発揮できる点には好印象を受けました。
XIGMATEKの『Thor’s Hammer S126384』は、シングルファン搭載時には同社製品の『Dark Knight S1283V』とまったくの互角、『Dark Knight S1283V』が対応していないデュアルファン搭載でようやく『Dark Knight S1283V』を上回るものの、それでもシングルファン搭載時の『Megahalems』と互角以下という結果になっており、XIGMATEKのハイエンド製品としてはちょっと物足りない印象を受けます。ただし、XIGMATEKの社長が語った内容からすると、『Thor’s Hammer S126384』はファンレス動作を意識した設計のようなので、製品の方向性的に今回のような絶対的な冷却性能を追求する検証で振るわないのは仕方ないのかも知れません。
XIGMATEKの『Dark Knight S1283V』は、今回比較した5製品の中では低速ファン搭載時の冷却性能がいま一つなかんじですが、『KAZE-JYUNI 1900rpm』や『ULTRA KAZE 3000rpm』などの高速ファンを搭載すれば上位製品に迫る冷却性能を発揮しています。総合的なCPU冷却性能では同価格帯の『MUGEN∞2』に遅れをとっている感はあるものの、5製品中最も大きい『MUGEN∞2』に対して『Dark Knight S1283V』は逆に5製品中最も小さく、マザーボードへの取り付け易さなど、冷却性能以外の物理的な面では『MUGEN∞2』より好印象を受けました。
◆ 冷却性能検証 その2 〜 周辺冷却性能 〜 |
CPU冷却性能に特化した設計の多いサイドフロー型CPUクーラーの場合、周辺部品の冷却を考慮した設計になっている事の多いトップフロー型CPUクーラーに比べて周辺冷却性能に劣る場合が多く、そもそも設計的に大して周辺冷却性能は重要視されない項目でもあります。今回の比較では「【LGA 775】CPUクーラー冷却性能比較 Regulation 1.00 」に基づいてチップセットヒートシンクの温度とメモリの温度を測定していますので一応まとめて紹介しておきます。
⇒チップセット冷却性能比較グラフ
⇒メモリ(Slot 1)冷却性能比較グラフ
⇒メモリ(Slot 3)冷却性能比較グラフ
サイドフロー型CPUクーラーの周辺冷却性能比較なので特筆すべき点はありませんが、今回はCPUクーラーの取り付け方向的にメモリスロットがファンの吸気方向にある事により、メモリ温度は低く抑えられているようです。検証用のメモリは背の低いタイプなので、ファンとの距離が近すぎるSlot 1に比べ、Slot 3の方が冷える傾向にあるようですね。この関係は大型のヒートスプレッダを搭載しているメモリだと真逆になる可能性がありそうです。
◆ まとめ 〜 絶対性能と費用対効果に優れるMegahalems 〜 |
今回の検証を振り返ってみると、やはり印象的なのはPROLIMA TECHの『Megahalems』のCPU冷却性能です。ThermalrightのハイエンドCPUクーラーにして2008年チャンピオンであった『TRue Black 120』を凌ぐ『Megahalems』は、新興メーカーの第一弾製品としては破格の冷却性能だと思います。
また、これ程の冷却性能を持ちながら、実売価格は6,000〜7,000円と『TRue Black 120 Plus』より2,000〜3,000円程度安い価格で購入可能なのも『Megahalems』の魅力と言えます。この価格なら、38mm厚ファン(リブ無し)に対応させる事の出来る『SCY-12FC TYPE.B』を2セット購入しても『TRue Black 120 Plus』より安く購入できる場合もあります。
絶対性能とコストパフォーマンス両面に優れる『Megahalems』のインパクトが強いので、『Megahalems』一色な"まとめ"になってしまっていますが、各CPUクーラーの温度差はそこまで大きいわけではないので、このくらいのOCであれば今回比較したCPUクーラーならどれでも問題なく冷却出来ていると言えると思います。そういった意味では、絶対的な価格が安く冷却性能も高い『MUGEN∞2』は費用対効果的には『Megahalems』以上に魅力的と言えるかもしれません。このあたりは価格と冷却性能のどちらを優先するのかで選択する事になると思います。
最安値情報(coneco.net) & Shop Link
・PROLIMA TECH 『Megahalems』 ⇒ [amazon][ドスパラ]
・サイズ『SCY-12FC Type.B』(ファン固定クリップ) ⇒ [amazon][ドスパラ]
・Thermalright 『TRue Black 120 Plus』 ⇒ [Sofmap][ドスパラ]
・Scythe 『MUGEN∞2』 ⇒ [amazon][Sofmap]
・XIGMATEK 『Thor’s Hammer S126384』 ⇒ [Sofmap][ドスパラ]
・XIGMATEK 『Dark Knight S1283V』 ⇒ [Sofmap][クレバリー]
コメント
コメント一覧 (3)
こうなるとどれが良いかは、ホント個人の好みですよねェ。
それにしても、普通の人にとってはタダの鉄の塊(ガラクタとも言う)に凌ぎを削る各メーカーの心意気を感じると共に、瀬文茶さんの病的なまでの探究心に敬意を表します。
自分も意味も無く、CPUクーラー好きなのでとても参考になりました。
もう一読しただけでお腹一杯です。明日、会社でゆっくり再読させて頂きます。
ちなみに、CoolerMasterのペルチェ採用「V10」はどう思います?
検証を要求してる訳では、ありませんよョ(^_^;)
>>こうなるとどれが良いかは、ホント個人の好みですよねェ。
そうですね。比較検証なので多少の優劣は出ていますが、常用を前提としたOCを
行う分にはどれを選んでも大差ないような気がします。今回比較したCPUクーラー
の中から人にお勧めするとすれば、"安価で取り付けやすく大き過ぎない"XIGMATEK
の『Dark Knight S1283V』が一押しです。
※今回の検証は低速ファン搭載時の性能も見たかったので比較的軽めのOCとなって
いますが、『Megahalems』や『TRue Black 120』など、ハイエンドCPUクーラー
の真価が問われる検証もしてみるつもりです。
>>ちなみに、CoolerMasterのペルチェ採用「V10」はどう思います?
検証予定ですよ。実はこれまでCPUクーラーの比較検証をしてきたのはV10を
検証するためのデータ集めだったのです。対ペルチェ用にとある方から譲り受
けた隠し玉もありますし…。
ただ、個人的に今検証したいものは大体以下の感じになっています。
◆検証したいものランキング
1位:不二ライトメタル 『T-Shooter』
2位:ZOTAC 『IONITX-A-U』or『IONITX-B-E』
3位:Cooler Master 『V10』
次点:Scythe 『ZIPANG 2』
…『T-Shooter』、早く欲しいです。そして試したいです…。
それにしても病的とは言いすぎですよー。まぁ、普通じゃないのは分かってい
るつもりですが…。
無限弐は自分もすぐに買ったクーラーなのですが、
バックプレート方式のくーラーは、組み立てのときにやらないと取り外しが手間で、結局、忍者弐を買いなおしたという…ヘタレですいませんw
追加検証されることがあれば、ぜひ忍者などミドルクラスのCPUクーラーも比較してもらいたいです。