2月13日午前6時追記
 初投稿時、記事中でQ9300相当としている設定の動作クロック表記が2.33GHzとなっていましたが、上田新聞さんでご指摘頂いている通り正確には2.50GHzです。お詫びして訂正いたします。


 現在登場している唯一のPenryn世代クアッドコアCPU『Core 2 Extreme QX9650』を使って、3月に発売されると言われている『Core 2 Quad Q9000 シリーズ』のパフォーマンスを予想しつつ、『Core 2 Quad Q6600』を比較してみました。


Core 2 Extreme QX9650  GIGABYTE GA-G33-DS3R



検証環境

 今回の検証を行うにあたり、倍率可変CPU『Core 2 Extreme QX9650』とグラフィックスコア「GMA 3100」を内蔵するG33チップセット採用マザー『GA-G33-DS3R』を組み合わせたテスト環境と、G-0 Steppingの『Core 2 Quad Q6600』を用意しました。詳細な構成は以下の表の通りです。

検証環境


 今回のテスト環境には、先日半年も経たずに故障したKEIANの『GAIA XP-1100W』の代わりに出力300WのSFX電源『Super Versatile PLUS (SS-300SFD)』を利用している為、検証はビデオカード抜き=3D系ベンチマークテスト抜きの内容となっています。3D系ベンチマークテストでの比較テストは代替電源が手に入るまで今しばらくお待ちください。



各動作クロックでのBIOS設定

 今回行った検証では、『Core 2 Extreme QX9650』の動作倍率とベースクロックを変更して3月に登場すると言われるIntelのPenryn世代クアッドコアCPU「Core 2 Quad Q9000 シリーズ」にラインナップされているCPU相当に動作クロックを調整してベンチマークテストを行っています。各動作クロックでのBIOS設定は以下の通りです。

動作クロック


 3月に登場するクアッドコア製品ではステッピングの変更(C0 → C1)が行われると言われていますが、設計自体は『Core 2 Extreme QX9650』と同じCPUなので、同じL2キャッシュ容量で同クロック動作時ならばほぼ同じ性能になるはずですので、3月に登場する「Core 2 Quad Q9000 シリーズ」の購入を検討する際の参考になるかと思われます。

ただ、今回のテストでは2.33GHz動作の『Core 2 Extreme QX9650』を『Core 2 Quad Q9300』相当としていますが、『Core 2 Quad Q9300』はL2キャッシュの容量が『Core 2 Extreme QX9650』の半分(3MB×2)なので、動作クロックのみ同等という事になりますのでご注意ください。



Super PI

 まずは、「Core 2 シリーズ」が非常に優秀なスコアを出す「Super PI」の104万桁と416万桁の処理時間を比較してみました。

Super PI


 Super PIではPenryn世代クアッドコアCPUの持つ合計12MBという大容量L2キャッシュがずいぶん効いているようで、2.83GHz(Q9550相当)が170MHzの動作クロック差を覆して3.0GHz動作の『Core 2 Quad Q6600』よりも短時間で計算を終えています。

という事は、『Core 2 Quad Q9300』は今回検証を行った"仮想Q9300"の半分しかL2キャッシュがないので、"Super PI"のスコアが一段落ちる可能性が高そうです。



Windows Media Encoder 9

 続いて、Microsoftが無料で提供している動画エンコードソフト『Windows Media Encoder 9』を使って、デジカメで撮影した約45秒(81.5MB)の動画ファイルを、384Kbps(320×240)と5201Kbps(1280×720)のWMVファイルにエンコードしてみました。

Windows Media Encoder 9


 Windows Media Encoder 9のエンコード時間比較では、Super PIのように動作クロック差を覆すような結果は出ませんでした。ただ、薄いながらもL2キャッシュの差が処理時間に影響しているようで、5201Kbpsへのエンコードでは同じ3.0GHz動作でも『Core 2 Extreme QX9650』が7秒ほど速く処理を終えています。

『Core 2 Extreme QX9650』が登場した直後に各メディアでも報じられた事ですが、45nm世代のCPUから新たに追加された命令セットである「SSE4.1」が生かせない環境下でも、L2キャッシュ差で確実に性能の底上げがなされている事がわかりますね。



SiSoftware Sandra XII SP1 (ver12.31)

 処理性能比較の最後に、SiSoftwareの「Sandra XII SP1」でベンチマークソフトを使った際の性能比較結果を紹介します。

Sandra XII SP1 〜Processor Arithmetic〜


 まずは「Processor Arithmetic」の結果です。CPUのALU性能ではクロック差がそのままスコア差に表れており、『Core 2 Extreme QX9650』と『Core 2 Quad Q6600 OC (3.0GHz)』のスコア差はほぼ誤差レベルとなっています。この結果から、L2キャッシュの容量差がなければ、Kentsfield (65nm Quad-Core)とYorkfieldの (45nm Quad-Core)のALU性能には差がない事がわかりますね。

ALU性能比較のスコアとは対照的に、Whetstone iSSE3のスコアは全体的に『Core 2 Extreme QX9650』と「仮想Core 2 Quad Q9000シリーズ」の方が高くなっています。私は技術的な事にはあまり詳しくないので正確な事はわかりませんが、Penryn世代のCPUからは「Radix-16」が追加されFPUの性能が向上しているようですね。(⇒マイコミジャーナル)


Sandra XII SP1 〜Processor Multi-Media〜


 続いて「Processor Multi-Media」の結果です。『Sandra XII SP1 (ver12.31)』ではPenryn世代から採用された新命令セット「SSE4.1」に対応したテスト項目(Multi-Media Int 8x iSSE4.1)が用意されています。この項目では、SSE4.1に非対応の「Core 2 Quad Q6600」のスコアは、3.0GHz動作時でも2.66GHz(Q9450相当)動作のQX9650にすら及んでいません。


Sandra XII SP1 〜Memory Bandwidth〜


最後に、おまけでメモリの帯域幅を比較してみました。メインメモリの動作クロック自体はどの動作クロックでも変化ありませんが、テスト結果ではFSB 1600MHz動作となる(QX9770相当)のスコアが頭ひとつ抜けている他、FSBが1066MHz『Core 2 Quad Q6600(定格)』が一歩遅れた形になっていますね。



システム全体の消費電力比較

 最後に何も処理を行わずに放置した場合(アイドル時)と、「Stress Prime 2004」を使ってCPUに高負荷を掛けた際(フルロード時)のシステム全体の消費電力をワットチェッカーで計測した結果を紹介します。

システム全体の消費電力


 省電力機能(C1E)によってアイドル時の消費電力こそ大差ないものの、高負荷時の消費電力は2.4GHz動作の『Core 2 Quad Q6600』と3.0GHz動作の『Core 2 Extreme QX9650』が並んでいます。

かつて『Core 2 Quad Q6600』のG-0 Stepping品が発売された際に、従来のB-3 Stepping品に比べて低発熱・低消費電力化されたと話題になりましたが、プロセスの縮小が行われた『Core 2 Extreme QX9650』では更なる省電力化が実現されているようなので、クアッドコアCPUのネックの一つである消費電力面についても「Core 2 Quad Q9000 シリーズ」には期待できそうです。



おまけ 〜利用コア数によるシステム全体の消費電力変化〜

 現在のテスト環境で提供できる検証結果はこのくらいなのですが、これではあまりにも味気ないので、おまけで「Stress Prime 2004」を使ったテストを応用してフル稼働しているコア数毎の消費電力を比較してみました。(このテスト、本当はPhenomのレビューをする時にやりたかったのですが・・・。)

なお、この検証では単純にフル稼働させるコア数を0〜4コアに増やすだけでなく、デュアルコア×2構成となっているIntelのクアッドコアCPUの構造を考慮し、各シリコンダイの1コアずつをフル稼働にした状態である「1+1Core」の消費電力も計測しています。(ちなみに、各ダイの判別はCore Tempの温度表示を参考にしています。)

利用コア数による消費電力の変化




◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 検証環境の電源が代替品でこれ以上無理が出来ないので今回のレビューはひとまずここまでです。なんとも不完全燃焼な内容ではありますが、電源ユニットが手に入り次第3DMark06やLOST PLANETなどで検証してみたいと思います。

それにしても今回の検証環境で利用したGIGABYTEの『GA-G33-DS3R』。QX9650の倍率を0.5倍刻みで変更できたので今回のレビューが書けたことと、CPU電圧が0.5V付近まで設定出来るのは良いとして、低電圧・低クロック設定時の"クセ"が強すぎてアンダークロック+アンダーボルテージのレビューは難しいです……。




最安値情報 …coneco.netより
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GIGABYTE GA-G33-DS3R