TDP 19Wの"Conroe-L"コア採用の『Celeron 220』とSerial ATAポートをオンボードで搭載している事で注目を集ているIntelのMini-ITXマザーボード第2弾『D201GLY2』と、先代の『D201GLY』を比較してみました。

なお、この記事のテスト条件は『VIAの逆襲 〜MM3000 vs D201GLY〜』に準拠しています。



D201GLY2   『D201GLY2』と『D201GLY』



『D201GLY2』 vs 『D201GLY』 vs 『MM3000』

 Intel純正品としては初のMini-ITXマザーボードとして登場し、その価格と同価格帯の競合製品を圧倒するパフォーマンスで人気となった『D201GLY』の後継モデルとして登場したのが、11月15日(木)から発売開始となった『D201GLY2』です。

『D201GLY2』では、『D201GLY』の問題点であったドライブ接続用インターフェースの少なさを1.5Gbps対応のSerial ATAポートを2基搭載する事で解消し、搭載CPUのTDP引き下げによるファンレス化を実現しています。

 今回の比較では、スペック上だけを見れば『D201GLY』よりも間違いなくMini-ITXマザーボードとしての完成度が向上している『D201GLY2』が、本当に『D201GLY』や同価格帯の競合製品(今回はVIA『MM3000』)と比較して優れた製品なのかを見ていきたいと思います。


Intel 『D201GLY2』
サイズ・μATX(Mini-ITX) Form Factor (170mm×170mm)
CPU・Celeron 220 (1.20GHz/L2 512KB)
チップセット・SIS 「SIS662」+「SIS964」
メモリ・DDR2対応スロット×1
・DDR2 (663)/533/400
・最大1GBまで対応
HDD・Serial ATA 1.5Gbps(RAID 0/1対応) ×2
・ATA133 (40pin-IDE) ×1
VGA・Mirage1 graphic engine
・DirectX 9非対応(≒Aero非対応)
・最大128MBのビデオメモリ(メインメモリ共有)
・アナログ出力(D-Sub 15) ×1
LAN・10/100 Mbps (Broadcom) ×1
Audio・ADI AD1888 audio codec (2ch)
LAN・USB2.0 ×4 (外部×2、内部×4)
拡張スロット・PCI ×1


Intel 『D201GLY』
サイズ・μATX(Mini-ITX) Form Factor (170mm×170mm)
CPU・Celeron 215 1.33GHz
チップセット・SIS 「SIS662」+「SIS964L」
メモリ・DDR2対応スロット×1
・DDR2 533/400
・最大1GBまで対応
HDD・ATA133 (40pin-IDE) ×1
VGA・Mirage1 graphic engine
・DirectX 9非対応(≒Aero非対応)
・最大64MBのビデオメモリ(メインメモリ共有)
・アナログ出力(D-Sub 15) ×1
LAN・10/100 Mbps (Broadcom) ×1
Audio・ADI AD1888 audio codec (2ch)
LAN・USB2.0 ×4 (外部×2、内部×4)
拡張スロット・PCI ×1


VIA 『MM3000』
サイズ・Mini-ITX Form Factor (170mm×170mm)
CPU・VIA C7 Processor 1.0GHz
チップセット・VIA 「CN700」+「VT8237R Plus」
メモリ・DDR2対応スロット×1
・DDR2 533/400
・最大1GBまで対応
HDD・Serial ATA 1.5Gbps(RAID 0/1対応) ×2
・ATA133 (40pin-IDE) ×1
・ATA133 (44pin-IDE) ×1
VGA・VIA UniChrome Pro IGP
・DirectX 9非対応(≒Aero非対応)
・最大64MBのビデオメモリ(メインメモリ共有)
・アナログ出力(D-Sub 15) ×1
LAN・10/100 Mbps (VIA VT6103) ×1
Audio・Realtek ALC655(6chオーディオ)
LAN・USB2.0 ×8 (外部×4、内部×4)
拡張スロット・PCI ×1




テスト環境

 今回の比較テストに用意したPC環境は以下の通りです。基本的にすべてのマザーボードで同じパーツを使うようにしていますが、Serial ATAポートを備えていない『D201GLY』のHDDだけは例外的に別の製品を利用しています。

もっとも、HGSTの同じシリーズで同容量でインターフェースのみ異なる製品を使っているので、そこまで差はつかないはずですが。

テスト環境
メモリ・1GB DDR2-667 (UMAX製)
HDD
[D201GLY2・MM3000]
・160GB (HGST Deskstar 7K160 SATA)
HDD
[D201GLY]
・160GB (HGST Deskstar 7K160 IDE)
CD/DVD・Panasonic 『UJDA770』
電源・Owltech 『Super Versatile PLUS』 300W




パフォーマンス比較1 〜CPU編〜

 まずはこのクラスの製品では最も重要と言っても過言ではないCPUのパフォーマンス比較からです。

『D201GLY2』に搭載されている"Conroe-L"コア採用の『Celeron 220 (1.20GHz)』は、『D201GLY』に搭載されている"Yonah"コア採用の『Celeron 215 (1.33GHz)』よりも動作クロックが引き下げられていますが、モデルナンバー的には上位モデルにあたります。



Celeron 220   Celeron 215


 CPU-Zのスクリーンショットをご覧いただければ、"Conroe-L"コアの採用により64bit OSや新拡張命令セット"SSSE3"がサポートしている事がお分かり頂けると思います。これがどの様にパフォーマンス差に現れるのかベンチマークテストで確認してみました。


SiSoftware Sandra XII 〜CPU〜

Crystal Mark 2004R2 〜CPU〜

Windows Media Encoder 9

Super PI

SiSoft Sandra XII


 結果はご覧の通りで、1.20GHz動作の『Celeron 220』が1.33GHz動作の『Celeron 215』にすべての項目で勝利しています。

 大抵のスコアでは圧倒的と言えるようなスコア差は付いていませんが、例外的に「SiSoftware Sandra XII」の"Multi-Media Int"と"Cache and Memory"ではスコアに大差がついています。("Multi-Media Int"に関しては、"Conroe-L"コアがサポートしたSSSE3の効果が顕著に表れていると見て良いでしょう。)

 今回実施たベンチマークスコアを見る限りでは、『Celeron 215』よりも動作クロックが低い事によりパフォーマンスダウンは全く気にする必要がないと言えるでしょう。



パフォーマンス比較2-1 〜Memory編 その1〜

 CPUに続いて、DDR2-667対応メモリを使った各マザーボードのメモリパフォーマンスの比較と、対応メモリに関するの情報を少し紹介します。

まずは「CrystalMark 2004R2」によるメモリアクセス関連のベンチマークスコアを比較したグラフからです。


SiSoftware Sandra XII 〜Memory〜


 以前『D201GLY』と『MM3000』を比較した際に、「MM3000よりはD201GLYの方がメモリアクセスは速いものの、決して優秀ではない」という旨のレビューをしましたが、『D201GLY2』では若干メモリアクセスが高速化されています。

ただし、これはマザーボードがDDR2-667に対応した事によるものではないようですね。(後述するようにメモリの動作クロックはDDR2-533相当)



パフォーマンス比較2-2 〜Memory編 その2〜

 今回用意したマザーボードはすべて、公式のスペックでは最大で1GBまでのメモリをサポートしているとされており、低価格化により手の出しやすくなった2GBメモリはサポート外となっています。

しかし、世の中何事もやってみなければ判らないと言う事で、各マザーボードにSanMax製のDDR2-667対応2GBメモリを差して起動テストを行ってみました。さらに、おまけでサポートしているメモリ規格の調査も行っています。

 結果は『D201GLY2』および『D201GLY』は2GBメモリを搭載しても問題なく起動したうえ、OS上でも問題なく認識して通常通り利用する事が出来ました。対応できなかった『MM3000』も、起動自体は可能なもののOS上では1GBメモリとしか認識されませんでした。

メモリ規格への対応については、今回用意したマザーボードは全て533MHzまでのサポートとなっているようです。中にはBIOS上でDDR2-667/800を選択可能なマザーボードもありましたが、OS上から確認するとDDR2-533相当の動作クロックに抑えられていました。



パフォーマンス比較3 〜HDD編〜

 『D201GLY2』にSerial ATA 1.5Gbpsポートが2基用意され、ドライブ接続用インターフェースがIDE 1系統しか用意されていないと言う『D201GLY』の弱点が解消された事は、HDDへのアクセス速度を抜きにしても評価出来る点ですが、一応HDDアクセスのベンチマーク比較を行いました。


Crystal Disk Mark 1.0.4


 結果的には同じHDDを同じ規格のインターフェースで接続している『MM3000』に比べてやや遅めとなっており、『D201GLY2』に用意されたSerial ATAポートは、パフォーマンス的に優秀という訳ではないようですね。



パフォーマンス比較3 〜システム全体の消費電力〜

 ここまで期待通りのパフォーマンスを見せてくれたIntelのMini-ITXまあザーボード第2弾でしたが、システム全体の消費電力をワットチェッカーで比較したところ、事前の予想とはまったく異なる結果となっています。

では予想を裏切ったシステム全体の消費電力比較グラフをご覧ください。


システム全体の消費電力


 比較の結果、驚いた事に『D201GLY2』のアイドル時の消費電力が『D201GLY』のCPUフルロード時の消費電力を上回るというショックな内容となっています。

この検証前は、『D201GLY2』に搭載されている『Celeron 220』が『D201GLY』の『Celeron 215』よりも動作クロックが引き下げられ、TDPも27Wから19Wと8Wも低下しているので、VIAの『MM3000』に匹敵する省電力性を実現しているのではないかと予想していたのですが………。

 結局のところ、デスクトップ向けのConroe-Lコアの動作クロックを引き下げたものより、モバイル向けCPU用として開発された"Yonah"コアを採用した『Celeron 215』の方が省電力だったという事でしょうか。



パフォーマンス比較4 〜CPU温度の比較〜

 消費電力の比較では期待を裏切る残念な結果となった『D201GLY2』ですが、「TDP=消費電力」ではなく「TDP=熱設計電力」なので、私が「TDPが下がっているから消費電力も下がっているだろうと」期待し過ぎていた事に問題があったのかもしれません。



CPUクーラー側面   CPUクーラー上面

チップセット用クーラー   AS-N1000


 上の写真は『D201GLY2』に採用されたCPUクーラー(左)と『D201GLY』のCPUクーラー(右)を並べたものです。『D201GLY2』ではTDP 19Wと低めの発熱量を利用してファンレスのCPUクーラーが採用されています。

今回は『D201GLY2』の低発熱性を確認すべく、『D201GLY』に『D201GLY2』のファンレスクーラー(CPU+チップセット)を取り付け、室温約22度の環境下で同じ冷却機構を備えた状態でCPU温度の比較を「CoreTemp 0.95.4」で行いました。なお、おまけでCPUクーラーをチップセット用クーラー『AS-N1000』に換装した際の温度も測定しています。


CPUの温度(CoreTemp 0954)


 結果は上のグラフの通りですが、TDP 27WのCPUよりもTDP 19WのCPUの方がコア温度が高いという信じがたい結果となっています。というかリファレンスクーラー搭載時の『D201GLY2』の高負荷時の温度は測定限界の100℃を振り切っています。



CPUクーラーの温度計取り付け位置   チップセットの温度計取り付け位置


 この結果を受け、急遽デジタル温度計を使ってCPUクーラーのヒートシンクの温度を測定してみる事にしました。結果は以下の通りです。


CPUとチップセットの温度 (実測値)


 測定ポイント・条件はどちらも同じなので、『Celeron 220』の方がヒートシンクの実測温度がと言う事は、TDP 19Wの『Celeron 220』の方がTDP 27Wの『Celeron 215』よりも高発熱であるという事になります。

逆に考えると、『Celeron 215』の発熱量はTDP 19Wの規格内に収まっているとも考えられますが、同じシリーズのマザーボード用CPUでこのような数値の表現をするのはちょっとどうかと思いますね。

 室温約22度という環境下でもこれだけの発熱があるので、ケースに収めた場合さらに発熱の問題は厳しくなってくると思われるので、実質ファンレス運用は不可能と考えて良さそうです。

ファンを使って冷却すればCPU・チップセット共に一気に温度が下がるので、必ずケースファンの風が当たるようにするか、ファンを搭載したクーラーに換装するなどの熱対策を講じる必要がありますね。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 Mini-ITXマザーボードとしての完成度が向上しているというイメージが強く、個人的にも期待していた『D201GLY2』ですが、最後の消費電力比較と温度比較に関しては非常に残念な結果です。

特にCPUのパフォーマンスとSerial ATAポートの追加がかなり魅力的なだけに、発熱と消費電力が非常に惜しく感じます。こんな事になる位なら無理にファンレス化しなくても良かったのではないかと思います。


 『D201GLY2』の実売価格は約14,000円となっており、実売価格13,000円の『D201GLY』よりも1000円ほど割高になっています。

これにCPU・チップセットクーラーの換装などをしていてはコスト面での魅力が失われてしまうというデメリットがあるので、PCIスロットを使わないのであれば『D201GLY』にSerial ATAポートの拡張カードを取り付けるのもありかも知れませんね。

いっそ、『D201GLY』にSerial ATAポートを搭載した『D201GLY+』とか登場してくれないものですかねぇ…。




最安値情報 …coneco.netより
Intel Celeron 220搭載Mini-ITXマザー『D201GLY2』
Intel Celeron 215搭載Mini-ITXマザー『D201GLY』